初めに勤めた会社が、目黒駅前の雑居ビルに「タバコ屋」を持っていた。だから30年以上前だ。自動販売機はまだなく、中年の女性店員が手持ちぶさたに雑誌をよんでいるような暇な店。なぜやっているのかと聞くと「もうじき地下鉄が通るから営業している」と言われた。立ち退き料をたくさんもらうためには営業していることが条件だったから。だから女性店員が急用でいなくなるときは臨時に店員をやってくれと頼まれた。「アルバイト代は出すからさァ。客なんて来やしないから本を読んでていいからさァ」。

目黒駅の地下化工事が終わる頃、知っている人と偶然目黒で会ってわかったことだけど、その後タバコ屋のあったビルは火事で燃えてしまったのだそうだ。だからタバコ屋はもうなく、当時収入がほとんど無くても営業していたことが目黒に地下鉄が来たというと言われると思い出すのだ。

結局2000年9月26日に営団地下鉄南北線が目黒まで開通し、都営地下鉄三田線と2つの地下鉄が東急目蒲線に乗り入れてきた。開通より早く東急目蒲線の各駅はホームの延長、地下化工事が行われ、まだ続いている。乗り入れる前に南北線と三田線の車輛は運転の慣れのためだと思うが目蒲線を走っていた。

開通前にタクシーに乗ったら、「あれっ、三田線も乗り入れるの、三田駅から先は工事をした様子がなかったから、もしかしたら三田と目黒の間は線路は昔に完成してたのじゃないかなっ」と予想してくれた。そうかもしれない。タバコ屋で地下鉄が来ると言っていたのは三田線のことだったのかも。

開通前に東急の元祖だった目蒲線も目黒線と多摩川線に別れ、多摩川園駅も多摩川駅に変わった。ちょうどいい機会なので、出かけるときなど目的もなく撮影した写真の中から目蒲線関係のものをまとめたのがこのページです。

 

          
    
 
特別付録 コンニチワ


タイトルとほぼ同じ区間を走る7700系